
執筆者:
麻布ブレインズ・スクール 代表
松田会計事務所 代表 税理士 松田 修

今回はすべての会社に共通する「利益を出す3つのポイント」と「事業の採算性について」を解説します。
すべての会社に共通する「利益を出す3つのポイント」の一つ目は「売上の増加」です。
会社は「損益分岐点売上高」を大きく上回ると利益が多く出ます。逆に「損益分岐点売上高」を少ししか上回っていない場合には利益はあまり出ません。
この仕組みを(図表1)を使って解説していきます。
実際の売上げが損益分岐点売上高を超えると、売上げの直線と変動費の直線に差が出ます。この差が利益です(図表1 参照)。
例えば、損益分岐点売上高を1%超えた場合は利益になりますが、その差が開いていないので利益は多く出ません。損益分岐点売上高を15%、20%。25%と大きく超えるとその差が開くので利益は多く出ます。

二つ目は「固定費の削減」又は「固定費のコントロール」です。
売上げが減少する、又は売上げが頭打ちの局面では利益を確保するには「固定費の削減」が必要になりますが、売上が増加する局面ではどう固定費をコントロールするかが重要になります。
3つ目は、「変動費率の引下げ」「限界利益率の引き上げ」になります。
以下、「固定費のコントロール」及び「変動費率の引下げ」「限界利益率の引き上げ」について具体的数字を使って解説します。
売上げが減少する、又は売上げが頭打ちの局面では利益を確保するには「固定費の削減」が必要になりますが、売上が増加する局面ではどう固定費をコントロールするかが重要になります。
売上げが増加し、固定費が減少できれば利益はより多くなりますが、実際には難しいと思います。
具体的な計算を(図表2)で試算してみましょう。モデル会社A社では、来期の売上げを520,000千円と計画しました。その結果、限界利益は今期と比較して8,000千円増加します。
(ケースⅠ)では、限界利益の増加が8,000千円に対し固定費の増加を4,000千円に抑えられたので経常利益を現在に対して4,000千円増加させることができました。
逆に(ケースⅡ)では、限界利益の増加が8,000千円に対し固定費が10,000千円増加しているので、経常利益は逆に2,000千円減少しています。
すなわち、
限界利益の増加額 > 固定費の増加額 利益は増加
限界利益の増加額 < 固定費の増加額 利益は減少
となりますので、売上げが増加する場面では、固定費をどうコントロールするかが重要になります。

損益分岐点の計算から見ますと「変動費率」の増加や減少、「限界利益率」増加や減少によって利益も増減します。
損益分岐点売上高のグラフで説明しますと「変動費率」が下がりますと変動費の直線の角度が下がります(図表3-A 変動費直線の下の点線)。よって売上げの直線と早く交わるため、損益分岐点売上高が下がります。
したがって同じ売上げの場合、損益分岐点売上高が低いほうが利益は多く出ます。
逆に「変動費率」が上がりますと変動費の直線の角度が上がります(図表3-B変動費直線の上の点線)。よって売上げの直線との交わりが遅くなるため、損益分岐点売上高が上がります。
したがって同じ売上げの場合、損益分岐点売上高が高いほうが利益は少なくなります。
この「変動費率の引下げ」の具体的方法は以下の通りです。
・小売業、卸売業の場合には、なるべく安い所から仕入れるなど仕入価額、売上原価の引き下げを図る
・売価の見直し、売価を上げて「売上原価率」を下げる
・新製品、新商品を発売し、売価の改善を図る
・売価はそのままで内容量を減らす(シュリンクフレーション)
・クレジットカードの手数料を見直す
・製造業、建設業の場合には、なるべく安い原材料費、外注加工費に切り替える
・飲食店では食材の無駄をなくし「フードコスト(食材費率)」を引き下げる など
逆に「変動費率が上がる」代表的なケースは以下の通りです。
・価格競争に巻き込まれて無理な値下げを行う
・正規の値段で販売できず、バーゲン、クリアランス販売の比率が高まる
・原材料の高騰、仕入れ価格の上昇を販売価格に転嫁できない
・飲食店で食材ロスが多額に発生する など


損益分岐点の観点から見ると、どの会社にも共通する利益を出すポイントは次の3つになります。