
執筆者:
麻布ブレインズ・スクール 代表
松田会計事務所 代表 税理士 松田 修

(第1回はこちら)

今回は、損益計算書(P/L)を見ていきましょう。
損益計算書(P/L)は会社の利益を計算しています。
損益計算書(P/L)の右側(貸方)には「収益」が入ります。「収益」は売上げ、受取利息など会社の収入をいいます。
「収益」の一番代表的なものは会社の売上げになります。会社や商店で製品や商品を販売する。サービス業の会社はお客さんに各種のサービスを提供して売上げを得ますが、この売上げが「収益」の最も代表的なものになります。
損益計算書(P/L)の左側(借方)には「費用」が入ります。「費用」は給料、家賃、水道光熱費、広告宣伝費などの会社の経費をいいます。

| ①収益 | 売上、受取利息などの「収入」をいいます。 |
|---|---|
| ②費用 | 給料、家賃、広告宣伝費などの「経費」をいいます。 |
(図表3)の損益計算書(P/L)を見てください。この会社の売上げなどの収益が100億円、給料、広告宣伝費などの費用が90億円としますと純粋な利益純利益は10億円と計算されます。
実は、損益計算書(P/L)も左側(借方)と右側(貸方)が一致(バランス)します。
算式で書きますと以下のようになります。
費用 90億円 + 純利益 10億円 (合計 100億円)= 収益 100億円
費用 + 純資産 = 収益 (これを「損益計算書等式」といいます。)
また、会社の純利益は収益から費用をマイナスして計算します。(図表3)の会社は収益が100億円、費用が90億円ですので純利益は10億円になります。
算式で書きますと以下のようになります。
収益 100億円 - 費用 90億円 = 純利益 10億円

ちなみに費用より収益が多い場合は簿記では純利益ですが、よく「黒字」とは「黒字決算」といいます。
費用 + 純利益 = 収益 …… 損益計算書等式
収益 - 費用 = 純利益 で純利益は計算されます。
(図表4)の損益計算書(P/L)を見てください。この会社の売上げなどの収益が100億円、給料、広告宣伝費などの費用が105億円かかっています。このように収益よりも費用が多いことを「赤字」といいます。

新聞やテレビなどで「〇〇会社が赤字になった」とか「〇〇会社の今期は赤字決算だ」などといいますが、簿記では「赤字」のことを「純損失」といいます。
ちなみに費用より収益が多い場合は簿記では純利益ですが、よく「黒字」とは「黒字決算」といいます。
ローマ時代(紀元前)の古代彫刻に商業帳簿が彫られていることが確認されており、簿記の歴史は古代まで遡るといわれています。しかしその当時の簿記は現在の「複式簿記」と違い「単式簿記」といわれています。
その後13世紀から15世紀にかけてイタリアの自由都市(ベニス、フィレンツェ、フローレンスなど)の商人が現在の「複式簿記」を考え出したといわれています。
ちなみに日本に簿記が入ったのは明治時代で、明治6年に福沢諭吉氏が「帳合之法(ちょうあいのほう)」という翻訳本で日本に初めて簿記を紹介しています。
したがって、江戸時代の商人の方は今の簿記による記録は行っていませんでした。

簿記では左のことを「借方」、右のことを「貸方」と呼びます。簿記を勉強すると最初に迷ってしまいますが会社が何か借りているとか、貸しているという意味はありません。
単に左のことを「借方」、右のことを「貸方」という簿記独特の専門用語です。
覚える場合には送り仮名をふって「借り」の「り」は左にはね、「貸し」の「し」は右にはねると覚えていただくか、「借方(かりかたひだり)」と声に出して言うとどちらも「り」が入っていますので声に出して覚えるのも一つの方法です。
「借方」は英語ではdebit(デビット)でdebtor(デェター 借主)から波及した単語といわれています。(そのため英文会計では、借方(debit)をDrと省略して書きます。)
「貸方」は英語ではcredit(クレジット)でcreditor(クレディター 貸主)から波及した単語といわれています。(そのため英文会計では、貸方(credit )をCrと省略して書きます。)
大航海時代にお金を出資してもらった人(貸した人creditor 貸主)を右側(貸方)に記入し、出資を受けた人(借りた人 debtor 借主)を左側(借方)に記入したという説や、銀行など金融機関が自分がお金を借りた場合には借方(借りた人 debtor 借主)に、お金を貸した場合には貸方(貸した人creditor 貸主)に記入したという説などがあります。
もちろん「借方」「貸方」と翻訳したのは日本に最初に簿記を紹介した福沢諭吉さんですが、「左側」「右側」と訳してくれていればもう少し簿記は易しかったかも…
